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老犬が震える理由。たみちゃんの場合【老化・認知症・不安・腎臓病】
今はお空で生活しているたみ(パピヨン・永遠の16歳11ヶ月)。
3年2ヶ月にわたる慢性腎臓病の治療中、ずっと気がかりだったのが「震え」。
私にとって犬の震え=体調不良という印象がとても強く、少しでも震えていると「どうしたの?」と心配になります。
というのも子供の頃に飼っていた犬が突然小刻みに震え始め、翌日には亡くなってしまったから。
原因は進行した子宮蓄膿症。
その経験から急激な体調の悪化=震えという図式はその時に私の中で強く焼き付きました。
また、同居犬チヨも若い頃からお腹が弱く腹痛の際にはブルブルと震えてうずくまることが頻繁にありました。
そんなわけで犬が震える=体調不良だと考えていたのですが、高齢になってから頻繁に震えるようになったたみちゃんの場合は、突発的な体調不良とは少し違った様です。
一般的には普段見られない震えがあった時にはすぐに受診するのが基本ですが、私のように「慢性的に震えていて診察・検査の結果も特に大きな異常はないのにやっぱり震えてて心配…」と悩む飼い主さんも多くいらっしゃると思うので、これまでに記録したたみの動画や信頼するかかりつけの獣医さんの見解、私の意見なども交えてまとめてみました。
犬が震える原因を考える
まず参考までにたみのスペックを挙げると、
- 怖がり
- 高齢犬(15歳頃から認知症の症状が顕著になり1年ほどかけてゆっくりと進行)
- 慢性腎臓病
以上の3つが大きな柱。
腎臓病発覚が13歳、耳が聞こえなくなり震えが目立つようになったのが14歳、明らかな認知症発症が15歳、亡くなったのが17歳の誕生日の2日前。
16歳の誕生日頃は震えや腎臓病・認知症がありながらも元気に走り回っていたので、常にブルブル震えて具合が悪そうにしていたわけではありません。
ただ一日に何度も突然震えて私を不安にさせる…。
そんなたみちゃんの震えについて考えてみました。
たみちゃんは怖がり
たみはもともと怖がりで、雷が鳴るとお風呂場に逃げ込んでブルブルするし、私が子供達に説教していると、この世の終りかというくらいガクガクブルブル…。
ゴミの日に大きなゴミ袋を持って各部屋のゴミを集めていたら、
おおおお母さんが静かにキレておもちゃを捨てて回ってる…!!!
ブルブルブルブル…。
そんなたみは、14歳になった頃から耳がほぼ聞こえなくなると同時に震えることが以前よりも増えてきました。
私や子供が普通にしていても震えているし、ご飯を残してしまってスプーンで食べさせてあげても途中から震えてくる。
もともと怖がりのたみなので、耳が聞こえなくなり、これまでのように状況が把握できなくなった不安も大きいと思います。
私はすごく心配になり、定期健診の時に詳しく診察してもらいましたが、治療中の腎臓以外は特におかしな所見はないとのこと。
やっぱり私の顔が怖いんですかね?
いや、あの、まぁ…あの、老化による震えということもありますから…
先生、無理しなくていいです。
ひとまずこの「恐怖」という精神面が原因の震えである可能性を排除するために、私は1日中ニヤニヤしながら過ごすことにしました。
目が合えば頭を撫でてやり、普段無表情になりがちな場面でもニヤニヤ…。
子供たちを叱る時は、笑いながらキレる。
このニヤニヤ作戦により、心なしかたみちゃんの震えは少しだけ改善されたように感じました。
老化現象・認知症・老齢性振戦
ニヤニヤ過ごすことで少しはマシになった震えですが、完全に収まったわけではありません。
15歳後半になると、↓この動画のようにキョロキョロしながら震えることも増えてきました。
この動画を獣医さんに見せて相談したところ、老犬の震えは「老齢性振戦」と呼ばれ、老化現象のひとつでもあると説明を受けました。
この後、たみは15歳になった頃から明らかに認知症の症状が出てきます。
完全に認知症になればメルヘンの世界で暮らしているような、ちょっと楽しそうにしているようにも見えてきますが、いわゆる「まだらボケ」の段階の時は「自分でもどうしたら良いのか分からない」という状況がすごく増えてきます。
例えば、
- 行き止まりで前進出来ない(後退すればいいとは思いつかない)
- ご飯を食べたらいいのか何なのか…
- なんかもう分かんない…
- 寝方が分からない
といった感じで今まで普通に出来ていた日常生活からイレギュラーな事態まで、あらゆることに対する判断が出来なくなってきます。
上の動画を獣医さんに見せた時は、単純に人間のお年寄りでも手が小刻みに震えるのと同じようなものとして「老齢性振戦」と説明されましたが、今振り返るとたみの動作や表情から認知症の初期段階=不安愁訴が原因である可能性の方が高いように思います。
不安愁訴は人間の認知症でも見られる症状で、私はこの後本格的に始まるたみの認知症のお世話をする上で、人間の認知症の症状やお世話の心構えなどを参考にしました。
定期検診では、たみの震えとは別に、下の動画の様なチヨの後ろ足の震えについても相談しましたが、結局は2匹とも老化によるものと思われるとのこと。
大きく分けると同じ老化現象であっても、チヨの場合は主に筋力の低下から来る足の震えで、たみは認知症が原因の震え。
どちらにしても脳の神経伝達障害の可能性など詳しい検査をするには麻酔下でのMRI検査が必要になるため、踏み込んだ検査をするかどうかは飼い主次第という話でした。
腎臓病の神経症状ではないか
犬の慢性腎臓病の神経症状は初期や中期で起こるものではなく、末期の末期に尿毒症や脳症が原因で大きな痙攣発作などが起こると説明を受けましたが、たみの様子を見ていると、比較的初期段階から震えや、光への過敏な反応(ミオクロニー発作)が起こっていたように感じます。
不安や恐怖が原因の震えではありえない、寝ている間もずっと震えていることもありました。
人間の慢性腎臓病の患者では「慢性腎臓病(CKD)は,認知機能障害のリスク因子であり,特に遂行力低下を特徴とする脳血管性認知症の発症リスクが高いことが特徴とされている*1」とされていますし、たみが晩年腎臓病よりも大変だった脳の神経症状(部分発作・眼振)や認知症も腎臓病と無関係とは思えませんでした。
とはいえ慢性的な「震え」が直接たみの症状悪化に繋がったとか、体調不良の合図だったということは結局一度もありません。
私は震えが腎臓病の悪化ではないか、体調を崩したのではないかといつもすごく不安で診察の度に獣医さんに相談していたのですが、気付けば2年以上同じ質問を続けていて、2年も震えてて直接何も異常がないならこれはたみちゃんの仕様だと思えばいいかな?と割り切れるようにもなれました。
もしこれが腎臓病の神経症状であっても、震えの状態がいつもと変わらず数値が安定していて、別の症状や合併症の可能性が低いのであれば、心配して気に病むよりは新たなステージへの対応を考えてQOLを出来る限り下げない生活を心がけることが大事かな(振り返るともっとそうしてあげたかったと思います)。
飼い主が少しの変化に気付き、迷わず受診することはすごく大事なことですが、冒頭でも書いたように「慢性的に震えていて診察・検査の結果も特に大きな異常はないのにやっぱり震えてて心配…」ということならば、震え以外にも別の気になる症状がないか全身の状態や日常の様子を今一度チェックしたり、老犬の場合は特に持病がなくても3ヶ月~半年に一度は全身の健康診断を受けることが安心材料にもなりますし、万が一病気にかかったとしても早期発見早期治療に繋がるかなと思います。
今回は私がずーっと不安で悩んでいた「震え」について、たみの晩年を振り返ってまとめ直してみました。
不安な時はとりあえず病院に行きましょう!
【参考】
*1) 鶴屋和彦 (2017). 慢性腎臓病における認知機能障害と脳萎縮 日本透析医会雑誌 32(3) 397-402.