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猫の便秘の薬(シロップ・錠剤)の与え方と自宅でのケア【マッサージなど】
雑種猫のとらじ(2015年夏~秋生まれ)は、保護猫として生後2ヶ月頃で迎えました。
家に迎えて4日目、トイレで唸り声を上げながらうずくまるとらじ…。
オス猫といえば泌尿器トラブル!?尿道結石!?と慌てた私は即病院へ。
診断結果は
便秘
レントゲン、エコーの結果おしっこには問題はなく、ウンチが胃袋の方まで溜まっていて相当苦しい状態だった様です。
獣医さんが少し摘便を試みたものの、2kg足らずの子猫のとらじは骨盤腔があまりにも狭くて小指も通らないとのこと。
というわけでお薬をもらって様子を見ることになり、
これから長い付き合いになると思います。がんばってください!
と励まされました…。
大人になったとらじ(2022年10月現在)は「巨大結腸症」の診断も受けて相変わらず便秘とのお付き合いは続けていますが、とらじも私もリズムが掴めるようになり便秘で病院のお世話になることはなくなったので、これまでの便秘騒動を振り返りつつ、とらじの下の世話について再編集しました。
便秘で通院した時の記録
まずは冒頭で書いた一番最初の便秘から振り返ります。
2015年11月の便秘
子猫過ぎて摘便も無理だったこの時は、お腹の動きを良くする薬だけもらいました。
【処方】プロナミド朝晩1/4錠
薬をもらったから一安心…と思いきや、ここから長い闘いが始まりました。
まずは翌日、トイレで踏ん張りながら吐くようになりました。
疲れたのか、トイレで生活するとらじ。
一応薬は飲ませているものの、効いている気配がありません。
そういえば昨日病院で「吐いてはいないですか?」と聞かれました。
昨日は吐いていませんでしたが、今日は吐きました。
というわけで再度病院へ。
昨日よりもだいぶ辛そうで、うんちも溜まっているけど摘便はやはり無理。
前日に処方されたプロナミドを合わせて飲ませる薬が追加されました。
【追加処方】ラクツロース朝晩0.5ml
処方されたプロナミド&ラクツロースを飲ませながら、あらゆる手段を試みました。
療法食
まずはフードを普通の子猫用のものから獣医さんから勧められたロイヤルカナン消化器サポート(可溶性繊維)に変更。
お腹マッサージ
左わき腹から下腹部にかけて触ると、明らかに腸の形に塊があるのが分かります。
それをほぐしてほぐして下へ下へ…マッサージをするとすぐに催してトイレに走るものの、なかなか出ずに唸るので、お腹を押してお手伝い。
1,2時間かかってやっと小さい硬い塊がコロリと出てきます。
が、まだまだ溜まってる…。
ちなみにこれが現在もとらじに行っている「おトイレサービス」。
この方法で便秘とうまくお付き合い出来るようになりました。
人間の食品色々
- イージーファイバー
- 牛乳
- オリーブオイル(餌にかけたり、浣腸したり)
- ミルミル
↑この辺はヤケクソで色々試したもの。
ラクツロースを飲ませ始めてからカチカチのうんちがポロリポロリと出始めました。
そして1週間にわたる便秘(&嘔吐)との闘いは、突如出現した大きな大きなバナナウンコの誕生でひと段落。
子猫のとらじにとって本当に辛そうでしたが、見ている側にも辛かった…。
できることは片っ端から試したので、試しすぎて何が効いたのかは分かりません。
結局のところ療法食と病院の薬とマッサージの効果が大きかったのだろうと思います。
2017年10月の便秘
1年半ぶりの便秘で通院。
今回撮ったレントゲンは、素人目にもお腹の中がウンチでギュウギュウでした。
今回の便秘の経過は、
- 10月8日に普通に排便
- 10月9,10日に便秘
- 10月12日に摘便、フードを消化器サポート可溶性繊維に変更
- 10月14日普通に排便
- 10月15,16日に便秘
- 10月17日にレントゲン、摘便、投薬開始
こんな感じ。
生後2,3ヶ月の頃もひどい便秘で治療をしていますが、治療終了後は毎日or1日おきに自力で排便出来ていました。
それなのにここにきてなぜか突然の便秘。
謎です。
ウンチがカチカチなわけでもなく…。
獣医さんの見立てでは
- 生まれつき下半身に麻痺があること(後ろ足をひきずっています)
- 骨盤がとても狭いこと
- 肛門腺が溜まっていること
この3点を指摘されました。
骨盤が狭いのは、とらじは生後1,2ヶ月で保護された時点で下半身が軽く麻痺していたのでもしかしたら生まれつきか生まれてすぐに事故に遭い自然治癒したなどの経緯があるかもしれません。
肛門腺が溜まっていうというのは…「猫も絞った方がいいんですか?」と質問したところ、「溜まってしまう子は絞ってあげた方が良いですね」とのことでした。
犬は絞りますけど、猫もですか。
あんまり聞いた事がないし、今まで飼った猫も同居猫テツ子も一度も絞らずに元気です。
とらちゃんはやっぱり個性的。
今回の便秘は摘便と処方薬で落ち着きました。
猫の肛門腺の絞り方
犬は肛門腺が溜まるとムズムズするのか、お尻を床にこすりつけたり舐めようとする仕草をすることがありますが、とらじはそんな事しません。
便秘だってそういえば出てない…?と私が気付かなければ多分もっと苦しくなるまで黙っていただろうし。
基本的に猫の肛門膿は自然に出てくるものなのだそうです。
ウンチと一緒に出たり、日々少しずつ出たり。
とらじのように肛門腺が溜まってしまいがちな猫、更にとらじのように溜まっていても無反応な猫の場合、飼い主が時々チェックして絞ってあげなければいけません。
手がかかりますね。
猫の肛門腺の場所は↓写真の緑の印のあたり。
肛門腺が溜まらない方の同居猫テツ子の尻ですが…。
肛門膿が溜まっていると何となくコリコリとしたものに触れる事ができます。
片手で尻尾を持ち上げて、もう片方の手で肛門腺の部分を親指と人差し指で押し上げる感じで絞り出します。
あまりにも大量に溜まっていたり肛門腺に炎症を起こしている場合は無理に自分でやらずに病院で絞ってもらった方が良いです。
破裂することもあるそうですので。
それと肛門膿はものすごい臭いので直接手で受け止めないでティッシュを当てた上から絞りましょう。
2020年9月の便秘。遂に巨大結腸症と診断される。
2週間ほど前から重度の便秘になり、頑張ってもなかなか出てこない上にトイレからヨロヨロと出るなり床にペタッと倒れ込んでしまったり、嘔吐の症状も出てきたため受診。
腎臓病も患っているので便秘によるお腹の張り以外の可能性も心配だったのでまずはレントゲンを撮ったところ見事なうんこ。
茶色い部分が全部うんこ(ピンクの点は腎結石)。
子猫の頃からすぐにこのような状態になってしまうのは、やはりとらじの下半身麻痺の影響もあります。
便意や尿意が鈍く、自分でタイミングを図れないことと、一応自分でトイレに行って排泄は出来るもののふんばりきれない。
その積み重ねで便秘になってしまいます。
便秘の治療に専念出来たら…と思うのですが、とらじは腎臓病な上に便秘の療法食を食べさせて血尿を出したこともあり、食事療法は困難。
便秘をこじらせたり、腎臓への悪影響も考えると医療の力も借りなければなりません。
とらじの💩は肛門の出口でまっすぐに並ばずにゴチャゴチャとしてしまい(③)、ただでさえ下半身麻痺の影響で踏ん張る力が弱いのに出口渋滞を起こしてしまいがち。
そして渋滞を待つ間に💩の水分がどんどん抜けてガチガチに固くなり、余計出にくくなる(①②)。
という悪循環。
というわけで今回はとらじの便秘に対してひとまず現在停滞している💩は摘便で出してから、
- 渋滞の最後尾で固くなった①にはラクツロース
- 出口渋滞を待つ間に固くなって前に進みにくい②にはラキサトーン
- 渋滞の原因、出口で折り重なるように玉突き事故を起こしている③にはおトイレサービス(やむを得ない場合は摘便)
という3つの方法と日頃のお腹マッサージを組み合わせて行うことになりました。
おトイレサービスを積極的に導入してからは便秘ゼロです。
物理的に詰まったうんこは物理的に出すのが一番なのかも…と思います。
手技:うんこを外からほぐして肛門に誘導するおトイレサービス
便秘歴も長くなってくるとこちらも何だかんだスキルを身に着けるわけで。
薬だけでは対処しきれないし病院で摘便も可哀相!というわけで、お腹の上からうんこを外に移動させる「おトイレサービス(別名:手技「💩を外からほぐして肛門に誘導する」)」を導入してからは便秘で苦しむことはなくなりました。
膀胱にオシッコが溜まっているとヒュン!ってなるので、毎朝のおしっこの後にお腹を触ってみて、背骨に沿って棒状の固い💩を確認出来たら肛門に向かって誘導していきます。
分かりにくいので動画をいくつか貼っておきます。
最初のうちは私もしかしたら腎臓つぶしてたりして…とか不安になったので、病院で「私こうやってうんこを出させてるんですけど…」と相談して、間違っていないかどうか獣医さんのお墨付きをいただき、毎日見事な1本💩を出せるようになりました。
💩を毎日出すことでお腹のリズムも整い、便秘の悪循環から脱するきっかけにもなります。
また、とらじが患っている慢性腎臓病は便秘が大敵。腎機能の維持のためにも便秘対策は欠かせません。
満タンの膀胱を刺激してしまうと可哀相なのでついでに膀胱の場所を把握しておくことも大事。
膀胱を把握ついでにきちんとおしっこが溜まってるかどうかを分かるようになっておくと「おしっこが出てない気がするんだけど…」という時に、おしっこが出ない原因が腎臓から膀胱に流れていないのか(尿管結石など)、膀胱に溜まったおしっこが出てこないのか(尿道結石など)も何となく分かるようになり、いざという時に多少は状況の把握が出来て助かります。
満タンの膀胱は4~5cmくらいのパツンパツンのボール状になっているのでわりとすぐ分かると思いますが、そういったことも病院で実際に獣医さんに質問してみると良いと思います。
私は聞きまくります。
おトイレサービスでもダメなら便秘をこじらせる前に手袋にワセリンを塗って肛門に突っ込むという物理的な技を使いますが、おトイレサービスを始めてからはほとんどしていません。
薬でダメなら摘便ではなく、薬→おトイレサービス→摘便の順に試すのが負担がないかなと思います。
健常な猫ではないとらじには、泌尿器のトラブルと便秘は生まれ持った運命だと受け入れてうまくコントロールしていきたいと思っています。
猫の便秘に処方される薬
これまでにとらじの便秘で処方されて効果のあった薬と療法食は以下の通りです。
ラクツロース
ラクツロースは人間の便秘にも処方されるウンチを柔らかくする薬。
シロップになっていて、甘いらしいです(味見はしてない)。
元々は肝臓の薬ですが、その副作用として軟便・下痢を引き起こすことから便秘の薬としても使われるようになったとかなんとか。
特に副作用はなく便秘にもよく効きます。
副作用というか、与えすぎて下痢してしまうこともあるので要注意。
とらじが指示された量は1回0.5ml。朝晩与えます。ということで1日1ml。
一度だけ夜寝ていたら臭気で目が覚め、ふと横を見るとお尻にユルユルウンチをくっつけたとらじが寝ていたことがあります。
なので与える量はホント要注意。
1回0.5mlで足りない事もあれば多すぎることもある。そんな薬。
とらじの場合は0.25ml~1mlの間で💩の状態を見ながら私の判断で調整することになっています。
与え方はシリンジで口に直接入れます。
これが難しかったら、ちゅーるなど確実に全部食べきるおやつやウェットフードに混ぜる。
確実に飲まないと意味がないので、おやつorウェットフードはスプーン1杯くらい(少量)にすると良いですね。
病院でおまけにつけてくれる5mlのシリンジだと0.25mlを測るにはちょっと太いので、私は1mlのシリンジを使っています。
プロナミド(ガスモチン)
胃腸の動きを正常にする作用があります。
獣医さんによってガスモチンだったりプロナミドだったり処方される薬が違うのですが、どちらも成分は同じ。
ガスモチンが人間用で、プロナミドが動物用だそうです。
錠剤の与え方は、口を開いて放り込む。
喉の奥、中心めがけて放り込みましょう。
横にズレたりすると、しばらくして部屋の片隅で埃にまみれた錠剤を発見することもしばしば。
口に放り込んだ後は喉を撫でてあげるとわりとすぐに飲み込みます。
飲ませた後すぐにシリンジで最低でも5mlくらいの水を飲ませます。
猫は錠剤を飲み込み切れず薬剤性食道炎になることがしばしばあるそうです。
とらじは続けて何日も飲むと軟便になることもありました。
便秘ではなく胃腸の動きが悪く嘔吐が続く時も処方されました。
療法食:ロイヤルカナン消化器サポート
フードを病院で購入した消化器サポート(可溶性繊維)にしたところ、療法食に含まれるサイリウムの作用でびっくりするほど大きなうんちが出ました。
大きいのですが、ほどよい固さで便通は良くなり、苦しむことなくほぼ毎日出るようになりました。
粒はテトラポット型で噛み砕きやすく、食いつきもなかなかのもの。
他のフートと半々でお皿に入れると、消化器サポートばかり食べてる気が…。
味もとらじ好みの様です。
とらじのご飯をよく盗み食いする同居猫テツ子も、消化器サポートばかりを選んで食べるのでおいしいのでしょう。
しかしとらじには合わなかったようで消化器サポートを食べさせると血尿が出るように…。
現在は慢性腎臓病のため(消化器サポートの影響ではありません)、便秘対策のものではなく腎臓病用の療法食を与えています。
サイリウム
便秘対策としてはおトイレサービスで良好な状態を保てていますが、便秘と毛球症予防も兼ねて消化器サポート(可溶性繊維)に含まれるサイリウムそのものをご飯にほんの少し混ぜています(ひとつまみ程度)。
サイリウムは水分を含んで膨張するので、多めの水分と一緒に飲まないとかえってお腹に溜まって負担になります。
とらじは腎臓病の食事療法のために流動食を飲ませているので水分量は問題ありませんが、自分であまり水を飲まない子の場合はウェットフードに混ぜるなど確実に水分と一緒に摂るようにした方が安心かなと思います。
ケストース
善玉菌の餌となるケストース。
腸内環境を整えるためにも毎日朝晩ひとつまみずつご飯に混ぜています。
ちなみに摘便&レントゲン&薬代など、便秘1回分の治療費はこちら…
ウフフフフ…
とらじは腎臓病になってからペット保険に申し込んだらお断りのお手紙が届きました。
ただの便秘ならまだ間に合ったと思いますが、巨大結腸症と診断されたら加入出来ないか、出来ても保険適用外の疾患とされてしまうかもしれません。
保険は元気なうちに入りましょう。