腎機能が低下すると、本来腎臓で濾過するはずの老廃物を処理しきれなくなり、体に毒素が溜まってしまいます。
それが次第に体調の悪化、腎臓病が進行すると血液検査上ではBUNやクレアチニン、リン、カリウムなどの上昇に繋がります。
犬が腎不全と診断されたら、まずは腎臓用の処方食による食事療法、進行したら点滴(皮下・静脈)、もっと進行したり合併症がある場合は投薬や症状に合わせた治療が行われますが、正直それだけでは限界があるとこれまでの治療の中で実感しました。
私は元々、人間用でも動物用でも、サプリメントというものは単なる業者の金儲けアイテムだと思っていました。
しかしその考えは間違いだったと。
中には「サプリメントは気休め」と仰る獣医さんもいますが、私は少なくとも腎臓の治療に関しては必要不可欠なアイテムだと考えを改めました。
老廃物を放っておくと、腎不全は悪化の一途をたどります。
そこで、腎臓で濾過しきれなくなった老廃物を消化管で処理(腸腎連関)しようというのが、腎不全の治療における大きなポイント。
とはいっても今まで腎臓が処理してくれていたものを

といっても無理な話です。
そこで活躍するのが、サプリメント。
腎臓で濾過しきれなかったリンはリン吸着剤やリン吸着を目的としたサプリメントが、その他の老廃物(BUN上昇に繋がる)は腸内環境を整えたり老廃物を吸着するサプリメントが消化管の中で老廃物の処理を手伝ってくれるという仕組み。
たみは1ヶ月に1~2回血液検査を受け、数値の変動に応じて療法食と適切なサプリメントを併用した食事療法を行っていました。
具体的には、リン吸着としては「レンジアレン」と、処方薬「ホスレノール」。
腸管の老廃物の除去に「アゾディル」を使用していました。
この他にも同様の働きのあるサプリメント、また、貧血や腎機能向上に少しは役立ってくれそうなサプリメントがありますので、ご紹介していきます。
サプリメントの使用に関しては必ず獣医さんと相談の上で開始しましょう。
サプリメントによっては薬との併用に注意が必要なものや、腎臓以外に疾患があった場合に本来期待している効果とは別の問題が生じる事もあります。
持病が腎臓病だけであっても、例えば高カルシウムの子に多量のカルシウム系のサプリメントを与えたり、高カリウムの子に(ここでは紹介していませんが)「腎臓のサプリメント」という点にだけ着目してカリウムのサプリメントを与えることで深刻な状態に陥る場合があります。
リンの上昇が心配だからと全然必要がないのにリン吸着剤を使ったら、低リンに陥る可能性もあります。
ネットのおすすめや情報を見ただけで決めるのは大変危険です。
たかがサプリメントと思わずに、その子の体に一番合った治療を進めていくためにもまずは獣医さんと相談することをお勧めします。
ちなみに私はこんなことを言いながらわりと自由にサプリメントを選んだり、食事療法も好き放題やらせていただいていますが、食事療法の内容と使用しているサプリメントは一覧にして先生に渡してあります。
犬の腎不全のサプリの種類
サプリメントの目的はいくつかの種類に分かれます。
ざっくり分けると、
- 窒素老廃物対策
- リン吸着
- 腎機能サポートするサプリメント
以上の3つ
現在の症状・目的に合わせたサプリを選びましょう。
窒素老廃物対策
たみは血液検査でBUNが上昇し始めた時から窒素老廃物を減少させるためのサプリを使い始めました。
特に「アゾディル」はとてもお高いサプリではありますが、全力でおすすめしたい。
私も獣医さんも、同じ病院に通うアゾディル仲間も、このブログを読んでアゾディルを始めた方も、みんな驚くほどすごいです。
中にはアゾディルの存在を知らず、飼い主さんからこのブログを教えてもらって患者に飲ませてみたらその威力にびっくり!という獣医さんも。
ただ、アゾディルはカプセルのまま飲み込ませるという、嫌がる子には少し大変な作業が必須。
これをクリア出来そうなら是非試してみてほしいサプリNo.1です。
詳しくは以下の記事を参考にして下さい。
アゾディル以外の窒素老廃物対策のサプリは、カリナール2があります。
腎臓病の初期から対策をしたい場合、アゾディルの価格面や飲ませ方などに抵抗がある場合はカリナール2から始めてみても良いと思います。
カリナール2の効果を期待して開始してみる…の巻【カリナール1・コンボとの違い】
猫のとらじはアゾディルを始めるのはまだ早く、活性型ビタミンD(カルシトリオール)を服用しているため炭酸カルシウムが主成分のサプリメントは使用できないため、カリナール2と腎臓用ではありませんが似た様なシンバイオティクス「マイトマックススーパー」を使っています。
乳酸菌H&JINも便秘のとらじには欠かせません(たみは💩ユルユルになったので中止)。
リン吸着を目的としたサプリ
血液検査でリンの数値が上がってきた時に活躍してくれるのが、リン吸着サプリメント。
たみは「レンジアレン」と、処方薬「ホスレノール」を使っています。
レンジアレンを使っているとどうしても軟便になりがちなので、「ビオフェルミンS細粒」も一緒に与えています。
レンジアレンの他には、カルシウムが主成分の「カリナール1」もリン吸着を目的としています。
リン吸着サプリメントについて詳しくは以下の記事を参考にして下さい。
リン吸着・窒素老廃物両方対策
何種類ものサプリを飲ませるのは大変という時は、リン・老廃物のどちらも対策出来るサプリも選択肢のひとつ。
BUNやリンの数値が高くなってくると数値に応じてサプリメントや薬を増やしたり変更する必要が出てくるのでこれらのサプリメントだけでは対応しきれなくなるかもしれませんが、食事療法で維持出来る段階の子にはとても便利なサプリメントだと思います。
カリナール1とカリナール2が合わさった「カリナールコンボ」
「イパキチン」はご飯の味を邪魔しないのか、混ぜても違和感なく食べてくれました。
ビルバックから2019年2月に新しく発売されたのが「プロネフラ」
液状のサプリなので粉が苦手な子は試してみても良さそうですね。
成分はカリナールコンボ、イパキチンと似ていて、炭酸カルシウムやキトサンが老廃物やリンに作用してくれます。
「キドキュア」は猫用ですが、犬にも使用可。
「ネフガード」は活性炭のサプリで、リンとか老廃物に限定せずざっくりと全部吸着してしまうので、薬や他のサプリと一緒に与えるのはNG。
たみは投薬や他のサプリメントとは2時間空けて飲ませていました(夜中とかに)。
腎機能をサポートするサプリメント
貧血対策
腎不全が進行すると、腎臓が生産している血液を作るためのホルモンが減少し貧血(腎性貧血)になります。
根本的な治療としては病院でホルモンを補う注射を打つことですが、貧血対策としてよく使われるサプリメントが、「ペットチニック」・「FCVリキッド」。
たみはペットチニックを使っています。
病院で注射をすれば一緒に鉄剤を処方されますが、たみが注射が必要になるほど貧血が進行しなかったのは早い段階からサプリメントで補っていたからかもしれないなと思います。
腎臓の保護
オメガ3脂肪酸は腎臓だけでなく認知症や皮膚、心臓など、色々なところに良い(適当)とたみの先生イチオシの栄養素。
たみはナウフーズの「ウルトラオメガ3」という人間用のサプリメントを使っています。
「コエンザイムQ10」は心臓・腎臓のために。
腎臓と心臓ってどうも関係があるようで、治療の中でも何かと関わり合います。
心臓が弱ると腎臓の治療に支障が出て、腎臓が弱ると心臓の治療に支障が…。
どちらも守っておきたいので、プランシュールのコエンザイムQ10犬猫用を飲ませています。
消化対策
「ベジタブルエンザイム」は元々同居犬チヨに与えていたものですが、たんぱく質や脂質の消化を助けるとの事で腎不全治療中のたみにも与え始めました。
とてもいい感じ。
腎臓食は低たんぱく質なので、代わりに脂質を増やしてカロリーを補っているためこうした消化酵素をプラスすることで膵炎予防にも良いかな?と思います。
おそらくですが成分中のラクトースの影響なのかお腹が緩くなる子がいるので、ごく少量から始める事をおすすめします。
この他にも腎臓に良いかも?なサプリメントはありますが、私の知る限りで確かなものだけをご紹介しました。
使用を検討する際は必ず必ず必ず必ず必ず必ず必ず必ず獣医さんと相談の上で開始してください。