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犬の腎臓の数値が少しだけ高い場合の日常ケアと心構え【腎臓病未満】

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我が家の長老チヨちゃん(18歳1ヶ月)は、年のわりに元気ですが、半年前まではパーフェクトな結果だった血液検査に少しずつ乱れが出てきました。

中でも気になるのが腎臓の数値。
といっても大して高いわけではありません。

  • BUN(基準値9~30):20mg/dL
  • Cre(基準値0.5~1.8):0.5mg/dL
  • リン(基準値2.5~6.8):3.7mg/dL
  • SDMA(基準値0~14):18μg/dL

ご覧の通り基準値から外れたのはSDMAのみ。

SDMAとは、腎機能の70%以上失われたところでBUN・クレアチニンが上昇して初めて異常が見つかる従来の検査と違い、40%失った段階で腎機能の低下を発見できるという検査方法。

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慢性腎不全と診断された場合、早期からの適切な治療と食事療法を行うことで余命数ヶ月と言われている犬の慢性腎不全であってもその生存期間を延ばす事も可能で、実際チヨの同居犬たみは、「もって数ヶ月~1年」と言われていた慢性腎不全でありながら3年2ヶ月にわたり安定維持した後、穏やかに老衰で旅立ちました。

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チヨちゃんまで腎臓の数値がイマイチなら、悪くなる前にすぐ治療しなきゃ!と思いがちですが、それは慢性腎不全と診断されてからのこと(まぁそこんとこはっきりしてくれない獣医さんも多いと思いますが…)。

腎数値が少し悪くても、それが今後必ず慢性腎不全へと進行するものなのか、腎数値が少し外れただけで生涯進行しないものなのか、他の病気が隠れていないかは一回血液検査を受けただけでは分かりません*1。

例えば心臓や肺に疾患があり利尿剤を服用していると腎臓に負担がかかりBUNが上昇しますし、肝疾患がある場合などもBUNが上がりがち。
甲状腺機能低下症を患っている場合もその影響で腎機能が低下(もしくは腎臓病を併発)します。

チヨが毎回受けているSDMA検査は、

腎臓病が併発していない限り肝臓病、クッシング病また心臓病などの他の疾患では上昇しません。さらに、クレアチニンとは異なり、SDMAは筋肉量に影響を受けません。(腎臓の新しい検査SDMAの概要より)

とのことなので、腎数値の悪化が腎臓病によるものか否かを見極める材料にもなりそうですね。

腎臓病は、腎数値に影響を及ぼす他の疾患の有無、投薬による影響などあらゆる可能性を排除した上で、更に腎臓の検査(血液検査・尿検査・レントゲン・超音波検査)を複数回行い、その経過を観察して初めて診断が下されるため(診断前でも心疾患などがなく脱水の兆候があれば皮下点滴などを行う)、腎臓病かもしれないのに先生は何もしてくれない!と早々に自己判断で療法食を始めたりサプリメントを服用することは危険です。不安な場合は獣医さんに質問をするか、セカンドオピニオンを受診しましょう。

チヨの場合は腎数値に影響を及ぼす疾患や投薬はしておらず、半年に一度の血液検査で正常値を示していたSDMAが今回は基準値よりも少し高かったことと、尿比重が1.018(基準値1.030~1.050)と少し低かった点、腎臓の超音波検査では数年前から「シスト(嚢胞)が見られる(おそらく加齢によるもの)」と言われており、総合的に見て「現段階では慢性腎不全とはいえないが、腎機能が低下しているのだろう」との診断でした。

犬猫の慢性腎不全の進行度合いは、ステージ1からステージ4に分類され、ある程度の診断基準が示されています。

参考 IDEXX

ちなみに慢性腎臓病のステージ1とは、

  • クレアチニン:基準値内
  • SDMA:18以下
  • 尿蛋白:非蛋白尿<0.2
  • 尿比重:正常~低比重
  • 血圧:正常(150以下)

ざっと見ると異常が見られないのがステージ1。

だけど何となくオシッコが薄い?とか、SDMAが基準値上限ギリギリをいったりきたりとか、オシッコに少したんぱくが出てる?とか、超音波検査で腎臓の見え方がちょっと汚い?とか、そんな感じ。

チヨはステージ1~ステージ4の慢性腎臓病のステージングの中ではステージ1に入るか入らないか。

この記事では、チヨの様に腎臓の数値が少し基準値から外れ、腎臓病未満とステージ1の狭間で揺れ動く微妙な犬の治療やケアについてまとめます。

ステージ1~ステージ2以上と診断され、食事療法や投薬、点滴などの治療が今すぐに必要な場合は、以下にまとめたチヨの同居犬たみの慢性腎不全の治療記録を参考にして下さい。

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チヨは腎臓以外に肝臓の数値が腎臓と同様若干基準値外だったことと、数年前から胆泥症を抱えていることもあり、現段階では腎臓食への切り替えの必要はないとのことで、治療としては毎月の健診(血液検査と尿検査)で様子を見るだけ。

じゃあ何のためのSDMAなのかな?と疑問が湧くと同時に、これまでのたみの治療の経験から、治療が必要になる程度に悪化するまで何もせずに様子見というのは嫌だー!と診察室で駄々をこねて、獣医さんに家でのケアや使用するサプリ等を報告した上で健康管理しています。

目次

腎機能が低下した老犬の対策

チヨは18歳。
比較的丈夫で長生きのパピヨンの中でもかなりの高齢なので、腎機能の低下が腎臓病に直結するというよりは老化現象のひとつと捉えています。

とはいえこのまま放っておいて腎臓が急に悪くなり、尿毒症や貧血、腎臓病の合併症に苦しむのは避けたいなと、たみの穏やかな旅立ちを見て思いました。

また、腎機能がこれ以上低下して慢性腎不全になり、他に新たな疾患を抱えた時にその治療の妨げとなるのも避けたい。

というわけでごく初期の腎臓病の治療ではなく、これまでのたみの治療で得た知識と経験から「腎臓に優しい生活」を送ることにしました。

現在チヨにとっている対策は以下の通りです。

処方食・療法食はまだ開始しない

犬や猫の慢性腎臓病ステージ1の治療指針では、「ステージ1でたんぱく尿を持続的に呈する場合腎臓食をスタートさせる」「リンを4.6以下に維持する、必要に応じ腎臓食、リン吸着剤を使用する」とされています

参考 IRIS 犬の慢性腎臓病の診断、ステージングおよび治療

チヨの場合は尿比重が低いだけでたんぱく尿が出ていないのも積極的な腎臓病の治療を始めない理由のひとつとのことです(たんぱく尿が出ている場合は食餌療法を開始、それで改善されない場合は投薬を開始する)。

とはいえ慢性腎不全では早期からの徹底した食事療法やリン・窒素老廃物の除去をすることでその予後が大きく変わることは、たみの闘病中に強く感じたのも事実…。

血液検査で腎数値が少し高く、腎臓病ではないけれど腎臓病予備軍と診断された場合、おそらく獣医さんからは

獣医さん
腎臓の療法食を開始しましょう
獣医さん
まだ何もしなくていいですよ

このどちらかの指示があることが多いと思います。

後者の場合、腎臓が悪化するとどうなるのか、犬の腎不全の余命がどのくらいなのか、そんな話はなかなか出てこないでしょう。
だから飼い主としても「あぁそうか、腎臓が少し弱ったのか」と漠然と受け取るだけ。

親切な獣医さんなら病気の説明や、治療計画の話、もしかしたらサプリメント等の指示があるかもしれませんが、そこまで手厚い先生は少ないのが現状です。

また、前述のとおり腎臓病と診断されたら早期からの食事療法が予後を左右すると言っても過言ではありませんが、それは腎臓以外に食事制限がない場合のこと。

腎臓食は低たんぱく・低リンに調整されているため、たんぱく質を増やせない分、脂質で必要なカロリーを補っています。

チヨは低脂肪・高消化性のご飯で、胆泥症対策と低下している消化能力を補う必要があります。
そのためチヨのご飯とは真逆の高脂質の腎臓食を与えることは現状では得策ではありません。

腎不全と診断される前のあまりに早期から自己判断で腎臓食に変更することで、

  • たんぱく質の不足による筋力の低下などのリスク
  • 脂質を多く摂ることによる膵炎など他の疾患を発症するリスク

こんな問題も出てきます。

猫の腎臓食ではステージ1の腎臓病の猫向けにヒルズからk/d早期アシストという処方食が販売されていますが、残念ながら犬用はありません。

もし他に疾患がなく、動物病院で食事療法を指示されていない段階で腎臓に配慮したご飯に変更したい場合は、ロイヤルカナン腎臓サポートやヒルズk/dなどの腎臓のためにガッチガチに計算し尽くされた処方食ではなく、成分的に少し緩め(処方食よりはたんぱく質の量が多かったりする)の市販の腎臓用療法食や、成分を見比べてたんぱく質やリンが低めの普通のドッグフードを選んでみても良いと思います。

参考までに以下の腎臓用処方食、市販の腎臓用療法食2種類、チヨが今食べている消化器用処方食、市販の総合栄養食2種類の体重3kgあたりの給与量相当の成分を比べてみます(調査時に公表されていた成分値から私が計算したおおよその数字です)。

この様にやはり動物病院処方のロイヤルカナン腎臓サポートが低たんぱく・低リンという意味ではベスト。実際たみは腎臓サポート缶に助けられていました。

が、腎臓食はどれも脂質が高くなっています。
低脂肪食の消化器サポートと比べるとその差は歴然。

私なら中途半端といえば中途半端ですが、たんぱく質が高すぎず、リンは腎臓食に近いくらい低め、脂質は腎臓食ほど高くない普通のフード(総合栄養食)を探すかな。
程よく腎臓に配慮という点ではボッシュライフプロテクションリナール&リダクションは絶妙な感じもしますね。他にも色々あると思います。

この様に通常食の中にも現段階では使えそうなフードもあります。

ネット上にはお金儲けのためだけに腎臓に良いとは言い難いドッグフードをおすすめするサイトもあるので、その辺りはご注意下さい。
正しい食事療法を行うこと、これが腎臓ケアの基本中の基本です。

とにかく腎臓に配慮したフードに切り替えたい場合は自己判断せず、成分表を持って病院で相談してみましょう。
相談出来そうもない場合はセカンドオピニオンなり、思い切って自己判断するなり…。

以下の記事に犬の腎不全の食事について&病院処方の腎臓食・市販の療法食について詳しくまとめてあるので、合わせてご覧ください。

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また、腎臓食=たんぱく質の制限と思われがちですが、近年ではたんぱく質よりもむしろリンを早期から制限することが重要だと言われています。たんぱく質にリンが含まれているので、結果的にはたんぱく質を制限することになりますけど。

よく言われているのは良質なたんぱく質(アミノ酸スコア100に近いほど老廃物が出にくい良質なタンパク質と言われています)を適度に摂取して老廃物を極力出さないようにすることと、リンの制限。

手作り食の方はこの辺りを意識してみると良いかと思います。
例えば同じ鶏肉でも、胸肉やササミは高たんぱく高リンなので腎臓食には向かないため、他の部位や食材を検討してみたり。私は手作り食での食事療法には自信がないので積極的にはやりませんが…。

リンの含有量についてはこちらのサイトをいつも参考にさせていただいています。
もっとがっつり細かく調べたい時は食品成分データベースが便利。

腎臓食については腎臓病の人向けの成分表が役立ちます。

人間の腎臓病ではカリウムの制限も必要とされていますが、犬の腎臓病では低カリウムになる子、高カリウムになる子、両方いるので、カリウムの摂取量については定期的な血液検査の数値を見て決めます。獣医さんは低カリウムが多いと言っていましたが、私の周りでは高カリウムに悩んでいる腎臓病仲間が多い印象です。

通常食とサプリメントの併用

というわけで今のところチヨはこれまでのご飯(消化器サポート)は一切変更していません。

では何をどうしたのか。
サプリメントを加えました。

膵炎の兆候や胆泥症など低脂肪食を続けるべき状況にも関わらず、自己判断で高脂質の腎臓食に切り替えるのはリスクが高いので、食事は変更せずにサプリメントを使います。

そもそも腎臓病の何が問題かというと、簡単に言うと腎臓で処理しきれずに漏れ出した毒素が全身に回ってしまうこと(進行すると腎性貧血や高リン、電解質の異常など他にも色々出てきます)。

おまけに壊れた腎機能は治らない。

じゃあどうするの?

腎臓
腸で処理してもらいましょう。

そう、腸の出番です。

老廃物の除去

腎機能が低下すると、腎臓で濾過しきれずに血中に留まった老廃物が腸管に流れ込み、腸管壁から再吸収される悪循環で、体内に老廃物が溜まりやすくなります。

単純に考えると、その老廃物が溜まるとBUNが上がります。

この老廃物を吸着するため、活性炭が処方される事があります。
病院処方だとクレメジンなど。市販の活性炭サプリだとネフガードなどがあります。

ネフガードは老廃物だけでなく薬の成分も吸着してしまうため与える時間に注意が必要ですが、飲んだところで悪い作用はない(ウンチが黒く、少し緩くなるくらい)ので、早期から始めておきたいのなら始めても良いと思いますが、チヨはまだ。

そしてこの活性炭だけでは除去できない尿毒素もある事が近年の研究で分かったそうです*2。

それらの老廃物の除去にはプロバイオティクス(腸内細菌のバランスを整え、腸内環境を安定させる微生物=善玉菌)を摂取することが有効であるとされ、いくつかのサプリメントが販売されています。

その仕組みはサプリメントで摂取した善玉菌が腸管内に溜まった老廃物を餌として代謝し、ウンチとして排泄されるというもの。

このように腎臓で処理しきれなかった毒素を腸で処理することで悪循環を出来るだけ抑えるというのが、腎臓病治療における「腸腎連関」という考え。

腸管内の窒素老廃物を処理するサプリメントとして、ある程度進行した腎臓病では「アゾディル」というサプリメントがとても良い仕事をしてくれるのですが、数あるサプリの中でもかなりお高いので、ごくごく初期から続けるとなるとお財布がなかなか大変です。

それに個人的にはアゾディルは腎臓食に切り替えて治療をしてもBUNが高くなる…といった状況の時に効果を実感出来るような気がします。

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というわけでアゾディル様はひとまずおいといて、腎数値がちょっと怪しくなりかけたかな?という段階では、アゾディルと似た仕組みで腸管内で老廃物を処理する働きを助けるサプリメントを使おうかなと。

そこでチヨが老廃物排出のために今飲んでいるのはカリナール2

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カリナール2は、善玉菌(プロバイオティクス)の他に善玉菌の餌となるオリゴ糖(プレバイオティクス)も配合。
ちなみにカリナールの様にプロバイオティクスとプレバイオティクスが一緒になったものをシンバイオティクスっていうんですって。

リンのコントロール

犬の腎臓病を長期にわたり維持する上で大切なのは、早期からリンのコントロールをすることと言われています。
「たんぱく質よりもリン」ということは、たみの治療の中でも何度も聞いたワード。

獣医さん
リンが上昇していないからリン吸着剤はまだ使わなくていい

という獣医さんがほとんどで、たみもそう言われていましたが、

獣医さん
まぁ使いたいなら使ってもいいですよ

とのことだったのでわりと早期から腎臓食に合わせてリン吸着サプリも使用していたのも長期安定維持に繋がったのかなと思います。

リンのみを吸着するサプリメントは、レンジアレンカリナール1があります。

犬の腎臓食はもともと低リンに調整されているので、ステージ1もしくはステージ1未満で腎臓食(もしくは通常食で低リンのもの)をスタートさせ、血液検査の数値が安定した場合には老廃物除去やリン吸着剤を慌てて使う必要はないと思います。

ちなみにリン吸着については病院の治療でも基本的には腎臓食とサプリメントで対策しますが、腎臓病が進行しリンの数値が基準値よりも高い上にしぶとく下がらない場合はリン吸着剤(薬です)を使用します。
たみは初期の頃からレンジアレンを使い、徐々にリンが上がってきてからはホスレノールという人間の腎臓病で使われているリン吸着剤を処方されていました。

診断もされていない現段階で腎臓以外の食事療法が必要ない場合はリン吸着サプリよりもリンが少なめのフードを探した方が良いかなと思いますが、リン関しては以下の記事も今のうちから知っておいた方が良いと思います。

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老廃物とリンの両方を排出するサプリメント

上でご紹介したカリナール2やアゾディルは窒素老廃物のみ、カリナール1やレンジアレンはリンのみを排出する目的で使用します。

その他にリンと窒素老廃物両方の排出を目的としたサプリメントも登場しました。

などです。

窒素老廃物だけでなくリンもどうしても気になるの!!という場合は、まずはこれらのサプリメントから初めてみても良いかもしれません。

ただ、リンは必ずしも体に悪い影響があるものではなく、リンの不足は骨を脆くするなどのリスクもあります。
この辺りは獣医さんをよく相談の上、決めた方が良いかなと思います。

チヨの担当の先生(たみと同じ先生)は

腎臓「病」にはしたくないです!

という私の熱い思いをよく理解して、どんなサプリメントを使うのかを報告しておけばわりと自由にさせてくださるのでありがたいです。

腎機能をサポートするサプリメント

初期の腎不全と診断された際、病院では

  • BUNを上昇させない→食餌療法、老廃物を除去するサプリの使用、皮下点滴
  • リンを上昇させない→食餌療法、リン吸着剤の使用、皮下点滴
  • たんぱく尿を抑える→食餌療法、ACE阻害剤等の服用
  • 高血圧→降圧剤の服用
  • 腎毒性のある薬を使用している場合はそのコントロール

このような治療が行われます。

私はたみの腎臓病の治療の際、病院で指示されたサプリメント以外にも自分で購入したいくつかのサプリメントを使用していました(獣医さんには申告しています)。

色々なサプリメントを使ってみましたが、これまでの治療を振り返り、中でもこれは使っていた良かったと思ったのが、オメガ3オイル・ビタミンB・コエンザイムQ10・消化酵素。
これはたみの治療中からチヨにも与えていて、現在も継続しています。

オメガ3脂肪酸は信頼している獣医さんから

獣医さん
魚油がいいですよ

と日頃から勧めていただいていて、自分でもよく調べてみるとオメガ3は腎臓や心臓に良いという論文も見つけたため与え始めました*3。

これは個人的な感想ですが、病院での治療だけでは手詰まりだった時期を脱せたのはオメガ3オイルを始めた成果ではないかと感じています。

オメガ3オイルは病院でも購入は可能でしたが、ビタミンDなど他の成分も入っているものだったので、人間用のオメガ3オイルカプセル(ウルトラオメガ3)を数滴ご飯に混ぜています。

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ビタミン剤は腎臓病が進行して腎性貧血の症状が出た時によく使われるペットチニックという鉄とビタミンのサプリメントがありたみも使っていましたが、チヨにはまだ使用せず、ビタミン類が含まれている老犬用サプリメント「転ばぬ杖」をご飯に混ぜています。
今後腎不全と診断されることがあればペットチニックに切り替えるつもりです。

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コエンザイムQ10は心臓がこれ以上悪くなって腎臓病の治療に支障が出ないようにと願って飲ませていました。飲ませてから少しして「なんか前より雑音がない気がする…」と言われたのはもしかして…。
あとは何となく老化防止。

また、腎臓食の脂質は気になるけれど、やっぱり腎臓食を…という場合は脂質の代謝を助ける消化酵素も一緒に摂取しておくと良いと思います。

たみは急性膵炎の既往があり、腎臓食の脂質が気になっていたこと、腎臓病の治療中に膵炎を発症するケースが非常に多い事からベジタブルエンザイムという消化酵素を使っていました。
チヨは消化器サポートを食べせているので目的は違いますが(胃拡張対策)、たみと同時期から飲ませています。

サプリメントは腎臓病の治療においてとても重要なアイテムです。
以下の記事にざっとまとめてありますので、早い段階で知っておいて下さい。

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水分補給が大事

慢性腎不全と診断された時、もしくは腎臓病の疑いがあり脱水の兆候が見られた時、皮下点滴を開始します。
チヨはもちろんまだしませんが、たみは腎不全と診断された1年2,3ヶ月後から皮下点滴を始めました。

皮下点滴で水分を補うと、BUNが下がります。
単純に水分で薄まっているだけですが、それでいいんです。腎臓が楽になるから。
たみの場合はBUNと一緒にリンも下がる傾向にありました。

たみは皮下点滴の他に毎日200ml前後の水+流動食を飲ませていました。
獣医さん曰く「口から積極的に水を飲ませる事は、皮下点滴をしているのと同じ」とのことです。

そのため皮下点滴を指示されなかったとしても、腎機能が低下した可能性がある場合は水分を多めに摂ることがその後の悪化を緩やかにするためにも非常に重要です。

チヨのご飯はほぼ水分。

水分補給は本当に大事ですが、心臓に疾患がない場合に限ります。

心臓と腎臓はとても深い関係にあり、

  • 心臓の治療をすれば腎臓に負担がかかる(利尿剤が腎臓に負担をかける)
  • 腎臓の治療をすれば心臓に負担がかかる(水分補給が心臓に負担をかける)

といった感じで、両方に疾患がある場合治療をする上でとても悩ましい状態になります。

たみも心雑音があったため、皮下点滴の量は心臓に負担のかからないギリギリの量で維持していました。

脱水状態は腎臓にとってとても良くないものですが、まだ本格的な治療を開始しなくても良い段階の腎臓病予備軍であるにも関わらず、多量の水を摂取して心臓に負担をかけ、利尿剤を使うことになってしまっては元も子もありません。

まずは腎臓の健康維持のために水分をたくさん摂らせたいが心臓の状態はどうなのかを獣医さんに確認しておくことをおすすめします。

ちなみに私は特に水素水の効果とか全然信用していなかったのですが、ミネラルゼロの安全な水を求めた結果、ペット用の水素水をずっと使っていました。
いまだに水素水で腎臓が良くなる!なんて思ってないけど、もしかしてたみちゃんがずっと安定してたのって水素水のおかげ…?とちょっと思っているのも事実。

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最後に

たみの先生は、たみ自身のことも、たみの腎臓も、たみの心臓も大切に見守ってくれました。

これまで3年以上にわたりたみの腎臓病の治療をしてきて、ネット上で同じ病気と闘う多くの飼い主さんと出会い、たみの先生のように熱心に治療にあたってくれる獣医さんもいる反面、「犬が腎不全になったら長生き出来ない」と始めから諦め顔の先生も多くいるという話も聞きました。

治療をする上で大切なのは獣医さんとの信頼関係です。
獣医さんに何を求めるのかは飼い主さんによって異なるので「こんな獣医さんにするといい!」とは言えませんが、この先生には任せたくないなと少しでも思うのならかかりつけ医を変える勇気も必要です。また、不安な時はセカンドオピニオンを求めることも大事。

愛犬を守れるのは飼い主だけです。

たみが腎不全と診断され余命宣告を受けた時、私はどうしたいのだろうかと考えました。

まずは正しい知識を身に付け、その知識だけに頼らず、目の前の愛犬を自分の目でよく見て、辛い現実から目を背けず、獣医さんとの良い関係を築いて、たみの寿命を全うさせることが私の考えるベストな形だと思ったから、この3年2ヶ月の日々がありました。

腎臓病の治療の中で認知症を患い、体も不自由になったボケボケたみちゃんを最後の最後まで抱っこしていられたことは私にとってとても幸せなことでしたが、それは私にとってのベストな結果にすぎません。

たみの様にシリンジでご飯を食べさせられるよりも好きなものを自分でおいしく食べて生きさせたいという考えも、食事療法だけでサプリメントは使わないという考えも、医療費をかけるよりも一緒にたくさん出掛けて思い出を作りたいという考えも、飼い主さんが愛犬のために一生懸命考えて出した結論であれば、それが正解だと思います。

その答えを出すための材料として、この記事やたみの治療記録を活用していただけたら嬉しいです。

以上、単なる素人の飼い主の独り言でした(間違ってたらごめんね!


【参考】

  1. 桑原康人 (2011).慢性腎臓病(CKD)の臨床的重要性と考え方 動物臨床医学,20(3),71-75.
  2. 宮川優一 (2018). 慢性腎臓病患者に対する食事管理 ペット栄養学会誌,21(1),52-54.
  3. Sheri Ross(2011).慢性腎臓病の栄養管理 ペット栄養学会誌,14(1),27-32.
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